伝記小説というより、資料を引用しながらシャルダンという商人の人生を紹介する学術書。
伝統や形式、迷信とシャルダン個人に宿る合理性の対比が興味深い
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冒険商人シャルダン (講談社学術文庫) 文庫 – 2010/11/11
羽田 正
(著)
世界を旅し、記録した「マイナーな男」の波瀾万丈
時代に翻弄され、家庭に悩んだ旅行記作家の生涯。歴史の小さな襞から、17世紀の<世界>を照らし出す。
多様な宗教と言語が行き交うペルシアで成功を収めた商人にして旅行記作家のジャン・シャルダンは、新教への迫害が続く息苦しい故郷・パリを捨ててロンドンに移住し、爵位を得た。しかし、彼の最大の悩みは、怠け者の長男の行く末だった――。時代に翻弄されつつ「一級史料」を書き残した市井の人物の生涯と、彼らが生きた17世紀の社会を活写する。
はじめは、300年も前のこんな「マイナーな人物」に関して十分な史料があるのだろうか、と疑っていたのだが、出るわ出るわ、こんなことまでと思うほどたくさんの新しい事実が明らかになり、私はシャルダン研究に夢中になっていった。第4章の冒頭にも記したように、史料としてまだほとんど使われていないシャルダン関係の大量の手紙や文書類をイェール大学で「発見」した時、私の興奮は最高潮に達した。――<「おわりに」より>
※本書の原本は、『勲爵士シャルダンの生涯――十七世紀のヨーロッパとイスラーム世界』として、1999年に中央公論新社より刊行されました。
時代に翻弄され、家庭に悩んだ旅行記作家の生涯。歴史の小さな襞から、17世紀の<世界>を照らし出す。
多様な宗教と言語が行き交うペルシアで成功を収めた商人にして旅行記作家のジャン・シャルダンは、新教への迫害が続く息苦しい故郷・パリを捨ててロンドンに移住し、爵位を得た。しかし、彼の最大の悩みは、怠け者の長男の行く末だった――。時代に翻弄されつつ「一級史料」を書き残した市井の人物の生涯と、彼らが生きた17世紀の社会を活写する。
はじめは、300年も前のこんな「マイナーな人物」に関して十分な史料があるのだろうか、と疑っていたのだが、出るわ出るわ、こんなことまでと思うほどたくさんの新しい事実が明らかになり、私はシャルダン研究に夢中になっていった。第4章の冒頭にも記したように、史料としてまだほとんど使われていないシャルダン関係の大量の手紙や文書類をイェール大学で「発見」した時、私の興奮は最高潮に達した。――<「おわりに」より>
※本書の原本は、『勲爵士シャルダンの生涯――十七世紀のヨーロッパとイスラーム世界』として、1999年に中央公論新社より刊行されました。
- 本の長さ352ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2010/11/11
- ISBN-104062920204
- ISBN-13978-4062920209
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (2010/11/11)
- 発売日 : 2010/11/11
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 352ページ
- ISBN-10 : 4062920204
- ISBN-13 : 978-4062920209
- Amazon 売れ筋ランキング: - 906,858位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 2,180位講談社学術文庫
- - 12,732位世界史 (本)
- - 130,231位ノンフィクション (本)
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2015年9月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ペルシャ旅行の波乱の冒険かと思いきや、危険ではあるが、もうけも見込める魅力ある異国でしかなかったことが意外。ルネサンス以降、ヨーロッパの教養は深まっていたことを感じる。やや上流の人士の人生を俯瞰できる良書.。
2015年5月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
18世紀後半、フランス出身のシャルダンがペルシアやインドに赴き、王室相手の商売を展開する。彼の記録を手がかりに、貿易のあり方やヨーロッパとアジアを行き交う人々の動き、各地の政治・社会状況が克明に描かれる。主題となる東西交易の実像もさることながら、熱心なプロテスタントであるシャルダンが、カトリックやムスリムなどの他宗教との関係を商売ベースでは冷静な割り切りをみせていることが示唆深い。
2013年2月24日に日本でレビュー済み
「狼と香辛料」という小説がある。
主人公は近世欧州の若い商人で、狼の化身した娘とともに商売のために北へと向かう。
それを彷彿とさせるのがこの作品だ。もっとも向かうのは北ではなく、東南のペルシャ、そしてインドだ。
その旅程は小説以上に緊迫しているが、知恵と用心深さで乗り切る姿は率直な感動を呼ぶ。
冒険商人という言葉も珍しいが、シャルダンという人名も「芳香剤か?」というくらいの連想しか呼ばない。
だが、読めば歴史は有名な政治家や軍人だけが作るのではない。その単純な事実を再認識できる。
本来、商人は値の安いものを高く売れるところまで運んで売ることで利益を出す。
その2地点が同じ民族で同じ国家に含まれるなら苦労は少ない。
しかしそのいずれもが、民族、国家のみならず宗教も価値観も異なると危険度も計りがたい。
それと同時に利益も莫大なものになる。そのためには、政治を利用し、契約を担保とし、信頼できるパートナーが不可欠となる。
シャルダンはフランスに生まれながら信仰上の迫害からイギリスに移り、相棒たちとの契約で利益を守り、青年期、壮年期、晩年とそれぞれの時代に相棒を求めた。
その商人としての人生は成功に彩られ、その記録はその時代の商慣習や社会慣習を現代に伝えている。
商法の国際性は学生時代に言葉の上では学んだが、そのルーツの一つが垣間見える。
度量衡など、なじみのない言葉は多いが、注釈が充実しているので気軽に読めるのもありがたい。
主人公は近世欧州の若い商人で、狼の化身した娘とともに商売のために北へと向かう。
それを彷彿とさせるのがこの作品だ。もっとも向かうのは北ではなく、東南のペルシャ、そしてインドだ。
その旅程は小説以上に緊迫しているが、知恵と用心深さで乗り切る姿は率直な感動を呼ぶ。
冒険商人という言葉も珍しいが、シャルダンという人名も「芳香剤か?」というくらいの連想しか呼ばない。
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本来、商人は値の安いものを高く売れるところまで運んで売ることで利益を出す。
その2地点が同じ民族で同じ国家に含まれるなら苦労は少ない。
しかしそのいずれもが、民族、国家のみならず宗教も価値観も異なると危険度も計りがたい。
それと同時に利益も莫大なものになる。そのためには、政治を利用し、契約を担保とし、信頼できるパートナーが不可欠となる。
シャルダンはフランスに生まれながら信仰上の迫害からイギリスに移り、相棒たちとの契約で利益を守り、青年期、壮年期、晩年とそれぞれの時代に相棒を求めた。
その商人としての人生は成功に彩られ、その記録はその時代の商慣習や社会慣習を現代に伝えている。
商法の国際性は学生時代に言葉の上では学んだが、そのルーツの一つが垣間見える。
度量衡など、なじみのない言葉は多いが、注釈が充実しているので気軽に読めるのもありがたい。
2020年12月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
冒険商人というタイトルに釣られて購入しました。もともとゲーム・オブ・スローンズが好きだったこともあり、イギリス・フランス・そして中東と冒険するシャルダンと時代を興味深く読みました。